断層核の形成と成長

1. 破壊過程の段階性

断層成長過程は、図1に示すように三つの特徴的な微小破壊フェーズが見られる。 各フェーズの微小破壊の発震機構(破壊様式)、b値(地震の規模と頻度との関係を示す数値)、 震源の時空分布が変化する。 これにより、b値と微小破壊の破壊様式等をモニターすれば、 試料が変形の状態を知ることが可能となる。 特に破壊直前の第2.第3フェーズでは、b値のみならず、微小破壊の発生率も長期・短期的な前兆変化を示す。 破壊直前での短期的な変化は断層面の非均質構造に強く依存し多様性を示す。

図1 断層形成に伴う微小破壊に三つの特徴的なフェーズが見られる。
第2(Secondary)及び第3(Nucleation)のフェーズでは特徴的な長期・短期前兆変化を示す。

微小破壊の震源分布の変化:第1/2のフェーズでは試料内全体に分布するが,第3のフェーズでは断層面のある場所から広がる(図2)。 震源分布の2点間相関関数を図3に示す。第1のフェーズでは高いフラクタル次元を示すするが, 第3のフェーズでは低い次元を示す。また,第1のフェーズに7mmの特徴スケールが見られる。 これが卓越な鉱物粒子サイズに相当することから,第1のフェーズの微小破壊の空間クラスターが鉱物粒子 にコントロールされることが判る。

図2 震源分布の変遷 第1/2のフェーズでは試料内全体に分布するが(@),
第3のフェーズでは断層面のある場所から広がる(A)。

図3 震源分布の2点間相関関数 第1のフェーズでは高いフラクタル次元を示すするが(@),
第3のフェーズでは低い次元を示す(A)。

2. ASPERITYの破壊過程

微小破壊の時・空間分布から断層上のASPERITYの分布を推定できる(図4a)。 断層準静的な核形成過程は断層ASPERITYの破壊を含む。 一つのASPERITYの破壊はまた,準静的な破壊期間(高いb値)・動的な破壊期間(低いb値)・余震期間(高いb値)からなる(図4b)。 複数のASPERITYの破壊は第3(Nucleation)のフェーズの短期前兆変化の原因である。

図4 断層準静的な核形成過程は断層ASPERITYの破壊を含む
ASPERITYの破壊はまた,準静的な破壊・動的な破壊・余震からなる


Last modified 2001/08/17 by Xinglin LEI